『新型コロナウィルス感染症について』(令和4年4月-5月号)

東成区医師会理事 大野 雅文

 日本上陸して約2年2カ月が経ち皆さんはすでに理解されていることと思いますが、整理してみます。
新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)を病原体とする感染症(COVID 19)で、飛沫・エアロゾル吸入・接触などで感染・発症してきます。しかし短期間に変異をおこし易いウィルスの為か感染力・重症度・症状もそれぞれの株で少し異なっているようです。すべての株に共通の症状としては発熱・全身倦怠感・疼痛(頭痛・関節痛・筋肉痛など)の他にアルファ株では咳・痰(肺炎)、さらにデルタ株では味覚・嗅覚異常が加わり、今年初めから流行しているオミクロン株では咽頭痛・鼻汁といった特徴があるように思います。
 令和2年1月15日から令和4年3月末日までに日本では650万人以上の人が感染し2万8千人以上の人が亡くなられています。致死率は季節性インフルエンザ(0.02~0.03%と言われている)に比べ、デルタ株主流の感染時期(令和3年7~9月)では0.31%(60歳代以上では2.5%)という統計が報告されております。特にオミクロン株は小児~若年者の発生が多く家族内感染・濃厚接触で家族全員の隔離療養が必要となり社会的問題も起こっております。
 今後さらにオミクロン株亜種で感染力の強いB.A.2の流行が懸念されており今まで以上に予防が大切になってきます。マスクの装着や3蜜回避(特に換気)はとても重要ですし、ワクチン接種をすることによってより強力に予防ができると思います。ワクチンによる発症予防の効果は2回接種後6か月間で50%以下に低下するもののブースター接種後は70%以上に再上昇するようです。また重症化を予防する効果も強く、リスクの高い高齢者や肥満(BMI 30以上)の方、慢性の肺疾患や腎臓病、糖尿病、高血圧、心臓病などの基礎疾患のある方は特に感染しないよう十分な注意が必要です。
 治療としては今まで対症療法しかなかったですが、発熱外来医療機関では重症化リスク因子のある方に点滴による中和抗体療法や経口薬による治療が可能となり、発症後5日以内(特に3日以内)に治療開始することでより重症化を予防することができるようになってきました。今後は国内企業開発の経口薬も近く承認される予定で治療の選択肢も拡がってくることと思われます。
 とにかく感染しないことが大事です!