『訪問看護って知ってますか』(令和4年6月-7月号)

東成区医師会会長 岩本 伸一

 「住み慣れた家で最期まで暮らしたい」誰もが願う言葉です。現在の日本は超高齢社会となり平均寿命は世界でもトップクラスとなっています。一方で、健康で暮らす寿命(健康寿命)と平均寿命との差は男性が約8年、女性は約12年と言われています。つまり10年近く病気がちの生活を送ることになります。これらの現実を踏まえ、国は「地域包括ケアシステム」(地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制)を導入し、高齢者にかかる諸問題に関して支援を行う体制整備を進めつつあります。「在宅生活」は医療面でのサポートを行う医師・看護師と、生活面でのサポートを担うケアマネージャー・ヘルパーの両輪が機能しなければうまくいきません。多職種の連携が必要で、時には行政とも協働します。東成区医師会では、毎年区内の多職種の研修会などを通じて在宅生活のノウハウを研究しています。「在宅医療」もその一環で医師が患家に赴き診察治療を行う診療形態ですが、区内でも取り組む先生が随分増えてきました。医療の進歩により一昔前に比べ在宅でできる医療の内容も高度になってきていて、そこに必要不可欠なのが訪問看護師です。日本に訪問看護制度ができて30余年になり、そのあるべき姿、教育制度なども時代と共に成熟してきております。健康管理、衛生保持、疾病の早期発見、治療のサポートなど多岐にわたる看護業務ではありますが、どのような疾患にも対応可能な資格(認定看護師、特定看護師など)を有する看護師も増えてきています。東成区医師会では、本年5月より区医師会立訪問看護ステーションを設立いたしました。区民の皆様の在宅生活の充実にも必ず役立つものと考えておりますので、御利用頂ければ幸いです。不明なことがあれば、区医師会までお問い合わせくださいませ。