『大腸3D-CTの活用法』(令和5年4月-5月号)

まえだクリニック 前田 史一

 大腸癌は胃癌をはるかに抜いて増え、今や10人に1人は罹ると言われています。また、女性のがん死亡率の1位にもなりました。
大腸ポリープの原因の多くは、食事等の生活習慣が大きく影響しています。動物性脂肪や蛋白質の過剰摂取、脂のノッタ美味しいお肉は食べ過ぎないことです。
大腸がん検診は便をとるだけなので症状がなくても進んで受けるようにしてください。そして、便潜血検査が陽性になれば2次検診といい精密検査への移行が重要です。この精密検査というのは大腸カメラのことです。しかし、大腸がん検診の2次検診受診率は非常に低く、なかでも大阪は全国でもワースト1、2を争っています。
なぜ大阪は2次検診受診率が低いのか、大阪人の気性の問題でしょうか。
どうしても、便検査からいきなり大腸カメラを受けるのは抵抗がある方が多いようです。そこで、中間検査としての大腸3D-CTの導入を考え、少しでも多くの大腸がんを早く見つけることに努めています。この検査はまだ大阪市内でもできる施設は限られています。
この検査の長所は、①前処置の下剤量が減らせること、②痛みはなく検査は15分程度で終わるため鎮静剤の使用もいりません。③腸の襞などの内視鏡では見にくい部位もよく見えます。④また、腸の癒着で内視鏡の入りにくい方にも可能です。しかし、短所もあります。隆起の少ない粘膜の病変観察は難しく、細胞やポリープを取ることはできません。
そのために検査の適応、使い分けが大切で、当院ではすべての患者さんに大腸3D-CTを進めるのではなく、病変のある可能性の高い方や粘膜病変が疑われる方には初めから大腸カメラを進めています。
このような先進的な検査を、近くで手軽に受けてもらえることが皆さんにとって有益なことだと考えています。いきなり大腸カメラを受ける事に抵抗のある方は、カメラの前練習の感じで相談されてはいかがでしょうか。
実際、多くのポリープ癌から進行癌が発見でき大腸カメラへの移行で早期の確定診断につながっています。
癌は今や治る病気です。症状が出てきてからでは遅いので、このような検査を上手く利用して健康寿命を延ばしていきましょう。