『熱中症について』(令和5年6月-7月号)

別所クリニック 別所 啓伸

 熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能が不具合を起こし、体内に熱がこもった状態を指します。具体的には、体温の上昇、立ちくらみ、頭痛、むかつき、筋肉のこむら返り等様々な症状を呈します。
 熱中症が起こりやすい場面として、炎天下で長時間過ごしたり、夏の暑いなか運動をしていたといったケースが想像されますが、実は梅雨の合間に突然気温が上昇するなど、身体が暑さに慣れていない時期にかかりやすい病気でもあります。
 意外なところでは、気温が低い日でも、湿度が高いと熱中症にかかりやすくなります。
 また、家の中でじっとしていても、室温や湿度の高さから熱中症にかかることもあり、熱中症にて救急車を要請した際の発生場所は、住宅等居住施設が全体の37%を占め最も多く、最近ではこのような室内型熱中症(室内で何もしないときに発症する熱中症)が注目されています。
 高齢者では体内の水分割合が少なくなり、さらには暑さやのどの渇きを感じにくくなっているため、熱中症になりやすく、加えて、心臓の機能や腎臓の機能が低下している場合が多く、熱中症になったときの症状が重くなりやすいという傾向もあります。

 以上のことを踏まえたうえで、日ごろから以下のような熱中症予防策を立てておくことが大切です。

  1. 外出中は日傘や帽子を着用し、天気の良い日には外出はできるだけ控えて、暑さを避けましょう。
  2. 通気性のよい、吸湿性・速乾性のある衣服を着用し、保冷剤・氷・冷たいタオルなどで体を冷やしましょう。
  3. のどが渇いていなくても、こまめな水分補給を心がけましょう。
  4. 室内にいるときは、扇風機や換気扇、窓の開放で、部屋の換気を確保しつつ、エアコンで室温を調節する。→暑い日は、昼夜を問わずエアコン等を使用しましょう。
  5. 日ごろから、適度な運動と体調管理(定時の体温測定など)を心がけましょう。