『知っているようで知らない腰痛ベルト』(令和5年8月-9月号)

東成区医師会会員 石井眞介

腰痛症や軽度の圧迫骨折の腰痛ベルトはなぜ効くのかをわかり易く説明します

 みなさんは重いものを持ち上げるとき、「ヨイショ」って声かけすることがあるでしょう。これは、今からチカラを入れるのでカラダの筋肉を一斉に引き締めろ!って心のなかで号令して腰を安定化し重いものを持ち上げ易くしているのです。腰痛用のベルトは、締めることで腹圧をあげて腰を安定化させるために使います。重量上げ選手がベルトを締めているのはこのためでもあるのです。つまり腰から腹部まわりの圧をあげることが重要でベルトをしめる位置やベルトの幅はこだわらなくていいのです。腰痛ベルトは、腰から腹部まわりの筋肉を緊張させることの代用で腰骨や椎間板を幅広く安定化させているのです。ですから腰椎の何番目が悪いからその部位をしめなければ意味がないというのではないのです。くり返しになりますが、腹圧をあげて腰回りを安定化することが重要なのです。
 寝るときもつけておくべきですか?と質問されることがあります。安静時に痛くなければ着けなくていいのです。きゅうくつで眠れないのも困るでしょうしね。但し、夜間にトイレにいくような人はゆるめに腹巻のように巻いておくか、すぐ装着できるように枕元において置くことも望ましいです。
 「ふんどしをしめてかかれ」ということばがあります。また、映画「プラダを着た悪魔」では敏腕編集長が突然会社に戻ると連絡が入った時、部下のひとりが「Gird your loins!」(気持ちを引き締めろ!) と叫ぶシーンがあります。girdはガードル(girdle)のことで主に女性がするガードルのことです。loins は腰肉のことでサーロインステーキのロインです。
 暑い日が続いていますが、みなさんもご一緒に「Gird your loins!」