『体幹筋力をつけましょう』(令和5年10月-11月号)

東成区医師会理事 野中 藤吾

 高齢者の方にとって、体幹筋力を維持することは健康的な生活を送るために重要です。体幹筋力は、胴体の筋肉群のことで あり、腰や背中、お腹などの部位が含まれ ます。高齢になると、筋肉量が減少し、筋力が低下するため、ロコモティブ症候群やサ ルコペニアに陥りやすく、バランス感覚が悪くなり、転倒や骨折のリスクが高まります。しかし、体幹筋力を維持することで、バランス感覚が改善され、転倒や骨折のリスクを減らすことができます。また、体幹筋力を維持することで、日常生活動作の能力が向上し、自立した生活を送ることができます。体幹筋力を維持するためには、適度 な運動やトレーニングが必要です。
 一般的は体幹筋力を鍛えるトレーニングにはプランクという方法が有名です。これは肘から手の前腕部を床につけて腕立て伏せの姿勢で数十秒、その姿勢を維持す るというものです。しかしながら、この手 技は比較的若年者に適用する訓練で高齢 者には負担がかかりすぎると考えます。 そこで高齢者におすすめの体幹トレーニ ングを説明させて頂きます。

  1. お尻歩きのトレーニング:まず、床に座り、膝を曲げ、足を前に出します。次に、お尻を持ち上げ、両手で床を支えながら、お尻を前に進めます。この動作を繰り返します。
  2. 骨盤調整のトレーニング:床に仰向けに寝て、膝を曲げます。次に、腰を持ち上げ、骨盤を後ろに倒します。この動作を繰り返します。
  3. セラバンドのトレーニング:セラバンドを使って、股関節や腰部分の筋肉を鍛えることができます。具体的な方法は、セラバンドを足首に巻き付けて、足を開いたり閉じたりすることです。
  4. パピーポジションのトレーニング:床に四つんばいで立ち、腕と肘を曲げます。次に、背中を丸めてお尻を後ろに引きます。この動作を繰り返します。

 いずれも体に過度の負担をかけることなく簡単にできる体幹トレーニング法です。皆様も一度お試し下さい。