『ヘッドフォン(イヤフォン)難聴について』(令和6年2月-3月号)

東成区医師会理事 柳 英博

 最近若年者を中心にアイポッドの普及もあり長時間大きな音量で音楽などを聞き続けることにより音を伝える役割をしている有毛細胞が徐々に壊れて起こる難聴が増える傾向があります。
 少しずつ進行していくため、自覚症状が乏しくいちど難聴が進むと治らない傾向があります。
 大きすぎる音量で聞かない、長時間連続して聞かずに耳を休ませる予防が重要になります。

①ヘッドフォン、イヤフォン難聴とは
 大きな音にさらされて起こる難聴は騒音性難聴と音響性難聴があります。騒音性難聴は職場や工場の機械音や工事音が原因で、音響性難聴は爆発音やコンサート・ライブでの大音響、ヘッドフォンやイヤフォンで大きな音を聞き続けることで起こります。WHO(世界保健機関)では11 億人もの世界の若者たち(12~35 歳)が音響性難聴のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。

②ヘッドフォン難聴の原因
 音を伝える神経細胞である内耳の有毛細胞は自動車の騒音程度の85dB(デシベル)以上の音を聞くと時間に比例して傷つき、壊れてしまいます。特にヘッドフォンやイヤフォンは耳の中に直接音が入るため長時間使用すると難聴が起こります。

③ヘッドフォン難聴の治療
 有毛細胞が壊れる前であれば、耳の安静を図ることで回復します。そのために耳栓を使用、定期的に耳を休ませることが必要です。大音響を聞いた後に難聴になった場合は、内服や点滴の治療が必要な時があります。

④ヘッドフォン難聴の予防
 WHOでは、ヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聴くときは次のようなことを推供しています。
・音量を下げたり連続して聞かない
・使用を1日に1時間以下にする
・ノイズキャンセリング機能のついたヘッドフォン・イヤフォンを選ぶ

少しでも難聴の自覚症状があれば、耳鼻科受診をして、難聴の有無判断や必要に応じた適切な予防や治療を受ける事をお勧めします。